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研究室について

ご挨拶

上月 正博 教授

この東北大学医学系研究科内部障害学分野は、呼吸循環、代謝、腎、消化器などの内部機能障害について研究する日本初の講座(1994年開設)です。
動脈硬化性疾患の増加、高齢化などにより、内科疾患患者で身体障害を合併する者が激増しており、「日常生活動作の自立と社会復帰」、「要介護の軽減」のためのリハビリテーション(リハ)の必要性が重要視され、内科とリハのハイブリッドとしての「内部障害リハ」という専門分野の早急な確立が求められています。

従来のリハは「疾病罹患後の廃用症候群の回復」というイメージが強かったです。しかし最近は、運動療法・薬物療法・食事療法・患者教育・カウンセリングなどをセットにした「包括的リハ」を積極的に取り組むことで、生命予後の改善、機能予後の改善、QOLや不安・鬱の改善などの目覚ましい成果を上げており、リハの概念が「危険因子の軽減による攻めの医療」に大きく変容しています。さらに、分子生物学的手法によるリハの効果の解析も進みつつあり、いわゆるリハ医科学としての発展も期待されます。

当教室で特に力を入れている領域は、心臓・呼吸・腎臓機能障害、脳・代謝障害などであり、その予防やリハに関する診療(「内部障害リハ科」「リハ部」)と教育・研究(「内部障害学分野」)を行っています。宮城県心筋梗塞対策協議会や宮城県呼吸リハ連絡網などを通じて、心臓リハや呼吸リハの診療・研究・普及を行っています。脳死肺移植前後のリハなどは本邦一を誇っています。研究では、脳卒中リハ患者の虚血性心疾患の合併頻度やインスリン抵抗性、国内初の脳死肺移植例のリハ、肝肺症候群のリハや短期入院型回復期心臓リハの確立、慢性呼吸不全患者の高次機能障害頻度とリハによる改善、腎障害動物モデルでの長期的運動が腎保護作用を有すること、微弱電気刺激での血管新生療法などを明らかにしてきました。
リハ医療にたずさわるスタッフは多職種におよび、さまざまなところで実践されていますが、リハをさらに発展させていくためには、リハビリ医療に対する不断の検証とリハ医学への新しい基礎的・臨床的取り組みが必要です。しかし、国立大学医学部でリハ医学講座のある大学は、東北大、東大、群馬大、鹿児島大のわずか4大学しかありません。このうち、東北大学医学部には、内部障害学、肢体不自由学、高次機能障害学の3つのリハ医学講座があり、それに対応して附属病院には、内部障害リハ科、肢体不自由リハ科、高次機能障害科の3つのリハ診療科があります。脳卒中の診療は3つの診療科でそれぞれ行っていますが、さらに内部障害リハビリ科では心筋梗塞、呼吸不全、腎不全、糖尿病、高血圧などの患者さんに対する診療を行っております。このように、リハ科の講座や診療科がこれだけ充実している大学は、本邦では他にありません。

東北大学病院リハ科の医師の場合は、大学院医科学専攻(リハ部 博士課程)で分子生物学、生理学、社会科学などさまざまな手法で、障害の発症予防と治療体系を開発するための研究と教育を行います。臨床教育・研究の場として附属病院のリハ科の44床の病床とリハビリ部をあてます。私の所属する内部障害学では、希望に応じて専攻内のローテートを可能にして診療にあたっているため、短期間にリハ分野のすべてを網羅できます。

さらに特筆すべきことに、東北大学には、障害科学専攻という、障害医学の研究を専門的に行う本邦唯一の独立専攻の大学院(修士・博士課程)があり、リハ医学講座などの教官が指導し、分子生物学、生理学、薬理学、解剖学、生化学、心理学、社会科学などさまざまな手法により、障害の評価・発症予防・治療の講義を受けたり、研究の指導を受けます。この大学院の受験資格は医学部卒業者に限りません。医学部以外の学部卒業者や十分な臨床・研究経験のある専門学校卒業者も受験が可能ですので、研究内容や実績も含め、詳しくはホームページを御参照ください。これまで、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、運動学士、薬剤師など様々な職種の国際色豊かな人々が卒業し、国内はもとより世界の国公私立大学や病院などの教育職や医療職などに就いて活躍中です。
私たちはこの恵まれた環境を生かして、障害医学やリハ医学・医療を発展させ、同時に医療従事者に障害・リハ教育を強力に行い、患者さんの生命予後の改善のみならず、患者さんのQOLや生活機能の改善をも調和的に発展させていく医療スタッフの育成を行う責務があると感じております。当教室では、医学系研究科・大学病院では内部障害リハの実際と研究を、関連病院ではリハ医学・医療全般と内科診療を連結して学ぶことで、
1)患者さんに親切で内科的リスク管理のできるリハビリの医師やコメディカル専門家、 2)リハビリもわかる医師、 3)新しいリハビリ科学を追求する研究者・教育者 の養成を目指し、明るい、創造性に満ちた教室を作っていきたいと思っております。リハを深く学び21世紀の障害・福祉を担う意欲のある人、新しいリハを研究し「変わるリハ」の一翼を担うことを志す人の参加をお待ちしています。